はちまん瓦〜八幡瓦〜いぶし瓦

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. いぶし瓦のいぶしって何?  いぶし瓦のいぶしって何? .


いぶし瓦の“いぶし” “燻し” “ibushi”とは
  加熱焼成された1100℃の粘土素地を950℃前後に 冷却した段階で密閉。 いわゆる、やきもので言う還元雰囲気です。 この状態で、炭化水素を含むガスを粘土素地表面に接触させます。 つまり、無酸素状態に密閉した窯の中で煙をモクモク発生させ“いぶす(いぶる)”わけです。 むかしは松の枝や葉でいぶしていました。しかし、現在、当組合では灯油と水でいぶしています。 そこで逃げ場の無くなった炭素は多孔質の粘土素地全体に浸透して蒸着します。 そして、素地表面を炭素の結晶子が被い薄膜をつくります。   この独特の工程を“いぶし”とか“コミ”と呼んでいます。   いぶし
    【写真】
いぶし瓦の割れた断面を観ると芯までグレー。これは炭素が粘土素地全体に浸透しているからです。そして、いぶし銀の光沢は炭素被膜に当った光りの乱反射によるものです
いぶし銀の光沢は10μ(ミクロン)の炭素皮膜
  この膜をこすり取ると、本来の炭素の色である黒(黒っぽいグレー)が現われます。 いぶしの光沢は、炭素結晶子の乱反射によるものです。たとえば、仮に木綿針を100本束ねてみたとします。 針の先の尖がった方を自分に向けて見たとすると、黒っぽい円に見えるでしょう。少し角度をずらして見ると、光の当り具合によって銀色に輝いて見える事でしょう。 適当な例えではなかったかも知れません。が、環境によって絶えず変化していることは確かでしょう。 従って、天気のよい青空のもとでは青っぽく感じ時があり、緑の森に包まれた時にはそれが反映することもあります。1日の内でも太陽の動きや天候によって、光の当り方が変化します。これに伴なっていぶしの光沢や発色も刻々と変化して行くのです。 また、雨の日は水を吸い込んで落着いた灰色になり、やがて余分な水は排水するため、しっとりとした濡羽色にも変化します。   走査電子顕微鏡による断面
    【写真】走査電子顕微鏡による断面
極めて薄い膜(約10μ=1/100mm)で、ウロコのように平面状炭素が、何重にも積層していることがわかります。 (撮影:信楽窯業技術試験場 宮代主任専門員 )
“いぶし銀” 光沢PART1
  いぶしの炭素被膜には、平面状炭素、球状炭素および繊維炭素の3種類。このうち、いぶし銀の光沢に最も影響を及ぼすのが平面状炭素です。この炭素膜では乱層構造の結晶子が粘土素地表面と平行になるよう配向して大きな平面になり、これが比較的規則正しく積み重なって、層状構造になっています。   いぶし炭素被膜
    【写真】磁器面上に生成した“いぶし炭素被膜”
向かって右側の平滑な面が釉薬の表面に付着していたところ。反対、左側は膜表面で球状炭素および繊維炭素らしきものが観察できます。 従って、右側から数層にわたる平面状のものが平面状炭素になります。
       
  田中稔著粘土瓦ハンドブックによると、X線解析等から平面状炭素は幾分傾斜角度をもって積層するとされています。さらに、傾斜角に規則性はないらしい。 とすると、いぶし銀の微妙な光沢の変化がこのようなところに原因があるのでは?この結晶子の配向を決定するのは素地表面の平滑さであり、より平滑な面に炭素膜が形成されれば、より規則正しく配向する。つまりいぶし銀の美しい光沢が生まれることになる。   いぶし炭素被膜(拡大)
    【写真】上写真の拡大
上の写真及びこの写真の撮影は、いずれも 信楽窯業技術試験場の走査電子顕微鏡によるもので、 宮代主任専門員のご協力をいただきました。
“いぶし銀” 光沢PART2
  昔から「磨き一等」と品質表示された瓦は、丹念にコテで磨いて仕上げたため表面が人工的に平滑な面になっている。 また、“ダイヤモンド”と呼ばれる“はき土(一種の目止め)”を表面に施し、凹部を埋め表面を平滑にすることも伝えられている。 おそらく経験の中から導き出されたであろう、先人の知恵に驚くばかりです。 一方、球状炭素では、結晶子はカーボンブラックのように球面に沿うかたちで配列し、全体としても球状の結晶子の集合体を形成している。乱層構造が3次元的に発達して、平面配向性はない。また、繊維状炭素は球状炭素が連なって成長したもので、やはり結晶子の平面平行的配向は認められない。なお炭素結晶子の大きさは、3種の形態のいずれも約20Å程度。   黒鉛基体上へPGが沈着する様子
    【図】
黒鉛基体上へ熱分解黒鉛(pyrolytic graphite)が沈着する様子を表したもの。いぶし炭素被膜表面の球状炭素や繊維状炭素はこのイメージ図のように生成沈着すると推定される.
矢島聖使、セラミックス、4 〔4〕 296-300 (1969)/粘土瓦ハンドブック 田中稔著 技報堂出版
“はちまん瓦のいぶし” の秘密
  いぶしの炭素被膜の厚さは、一般平均の10μを余裕で超えます。 粘土素地表面は平滑かつ梨肌の微細な3次元構造になっており“いぶしの炭素被膜”の剥離がおこりにくい。 さらに、粘土素地表面の微細な3次元構造は部分的ないぶしの剥離をおさえ、剥離する部分を拡散します。 結果としていぶしの色持ちが良い味わい深い瓦となります。   京花剣高軒瓦
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